せん妄患者の看護

今年も認知症研修行ってきました。コロナの関係で今年は少人数でした。

 

せん妄とは

意識障害の一種であり「脳機能の失調によって起こる注意の障害を伴った軽い意識のくもり(意識混濁)と基盤とする症候群である」

 

せん妄発症の3因子

準備因子 せん妄発言の基盤となる素質的因子

      例:高齢、脳血管疾患の既往、認知症 など

直接因子 せん妄発現に直接関与していると考えられる因子

      例:身体疾患、電解質異常、感染症、薬物など

誘発因子 せん妄発現を誘発ないし強める因子

      例:環境変化、精神的ストレス、睡眠障害、感覚遮断など

 

せん妄は要因をアセスメントすることが大切!

まずは予防ケア!

 

せん妄予防ケア

1.疾患に関連する症状を取り除き全身状態を整える

 ・病態の把握と全身管理

 ・疾患や治療に伴う苦痛の観察、予測と緩和

2.不安の軽減に努める

 ・患者の背景を知る

 ・入院生活、治療に関する説明を行う

3.感覚遮断を減らす

 ・感覚遮断は見当識をなくし心理的不安定さを増してせん妄発症のリスクとなる

4.生活リズムを整える

 ・睡眠パターンの乱れ、低活動性など生活の乱れはせん妄のリスク要因である

 ・患者個々の生活リズム、パターンに着目する

5.現状への認識と興味を引き出す

 ・現実見当識への支援はせん妄ケアにとって重要

6.その人にとって心地よい環境を整える

 ・患者にとって不快な刺激は何か把握する

 ・病院が患者にとって非日常であることを理解する

 

せん妄患者の看護

1.内部環境の安定性の保持

せん妄の直接因子である身体要因を取り除き全身状態を整える

 ・水分、電解質バランスの保持

 ・正常な酸素化の保持

 ・正常な循環動態の保持

 ・正常な睡眠、覚醒パターンの保持

 ・活動と休息のバランスを保持

 ・投与薬の作用、副作用のモニター

2.外部環境の安定性の保持

せん妄の誘発因子を取り除き、患者のおかれている環境を整える

 ・見当識を維持する情報提供、支援

 ・感覚遮断を改善し、適切な感覚刺激の保持

 ・不必要な身体拘束を介助

 ・疼痛コントロール

 ・環境変化を最小限におさえる

3.安心感のある環境の提供

 ・現実の状況をわかりやすく伝える

 ・なるべく同じ人がケアにあたる

 ・コミュニケーションの工夫(声、目線、タッチングなど)

 ・普段から慣れ親しんでいるものを置く

 ・家族など安心できる人にそばにいてもらう

4.二次障害(転倒、転落、事故)の予防

5.家族へのケア

家族への説明、教育

 ・せん妄とは何か

 ・どのような原因で起こるのか

 ・どのような治療、ケアが行われるのか

 ・どのくらい症状が持続するのか

 ・どのように患者と関わればよいのか

6.必要において薬剤を使用

 ・せん妄で出現している全ての症状を薬物でコントロールしようとすると過鎮静にな

  るリスクがある

 ・薬物療法の目的をケアする側ではなく患者側に合わせること

 ・薬剤調整を行う際、患者がどのような状態になればよいか明確にしておくこと

 ・医師やスタッフが共通認識をもつこと