最近、職場でも心理的安全性が流行りのようによく言われるようになりました。
<心理的安全性(psychorogical safety)とは>
ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が1999年に提唱した概念。エドモンドソン教授によると心理的安全性とは「支援を求めたりミスを認めたりして対人関係のリスクをとっても、公式、非公式を問わず制裁を受けるような結果にならないと信じられること」であると定義しています。
心理的安全性が、世界中の多くの企業から注目を集めるようになったのは、Google社が2012~2015年までの4年間に行った生産性向上のための労働改革プロジェクトの成果報告として、「心理的安全性がチームの生産性を高める重要な要素である」と発表したことに端を発しています。
エドモンドソン教授は、心理的安全性に関心を持つようになった頃、調査の一環として病院で調査を行いました。著書の“恐れない組織”では、こんな例を紹介しています。
例:A医師がある投薬を指示しなかったことに対し疑問をもった看護師が、迷った末に意見を言わないことにしました。前の週にA医師の指示に疑問を投げかけた別の看護師が人前で厳しく叱責されていたことを思い出したからです。A医師の方が自分より知識が豊富で、自分の意見など受け入れられないという思いもありました。
エドモンドソン教授は、こうした職場で率直に意見できないというのは、重要な、しばしば見過ごされている行動の典型であり、「対人関係のリスクを取っても安全だと感じられる職場環境であること、それが心理的安全性だ」としています。そして、有能なチームには率直に話す風土があって、気軽にミスを報告したり、話し合ったりできる。有能なチームは、ミスの数が多いのではなく、報告する数が多いのだと考えています。また、病院内でも、グループによって心理的安全性に違いがあり、心理的安全性はグループレベルで存在することから、心理的安全性はグループリーダーによって作られていると述べています。
<心理的安全性がもたらす効果>
心理的安全性が高まると、職場の風通しがよくなることで職場の人間関係の改善も期待でき、仕事に集中しやすい環境が維持できます。また、メンバーが発言しやすい環境が維持できるため、チーム内での情報交換が活発化します。ミスの報告をする際の心理的なハードルが低くなるため、ミスや問題が生じた時にもすぐに報告・共有ができ、迅速な対応が可能になります。
さらに、心理的安全性が高まると、ストレスが減るなどのメンタルヘルスケア面での効果も期待できます。ストレスが軽減されれば、心に余裕が生まれ、仕事のやりがいを感じやすく、仕事への「エンゲージメント向上」といった効果が生まれるとされています。
*エンゲージメント:誓約、約束、契約などの意味をもつ英単語。使用シーンによって意味合いは異なりますが、深いつながりを持った関係性を示す言葉
<心理的安全性をはかる7つの質問>
心理的安全性を測定する方法として、エドモンドソン教授はが提唱した7つの質問があります。ネガティブな回答が多ければ、チーム内で信頼関係が築けておらず、不安を抱えている可能性が高いとされています。
①このチームでミスをしたら、きまって咎められる。
②このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる。
③このチームの人々は、他と違っていることを認めない。
④このチームでは、安心してリスクをとることができる。
⑤このチームのメンバーには支援を求めにくい。
⑥このチームには、私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいない。
⑦このチームのメンバーと仕事をするときには、私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されている。
*日本看護協会参照
Googleもこの7つの質問を参考に5段階で提唱しているようですね。
自分の職場でも当てはめて考えてみたいと思います。