ユマニチュードとは…
フランス人体育教師だったイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏によって考案された高齢者ケアの技法。
介護する側とされる側、お互いがどういった存在なのかを問う哲学と、それに基づく実践的な身体介助のテクニックから成り立つ。
*フランス語で「人間らしさ」を意味する。
日本の医療や介護の現場でも知られるようになってきましたね。
●ケアを行う人の定義
ユマニチュードでは、ケアを行う人とは職業人であり、強制ケアをしないで健康問題のある人の状態に応じた正しいレベルのケアを選択できる人であると定義している。
適切なケアを行うには、ケアを行う人は、「今自分が何をしているのか?」と目的意識を明確にし、相手の能力を奪わないことが重要です。
正しいレベルのケア
①回復を目指すためのケア(健康が改善するためのケア)
②現在の機能を保つためのケア(今ある機能をできる限り保つためのリハビリなど)
③そばに寄り添うケア(穏やかに過ごしてもらえるよう優しさと思いやりのケア)
●ユマニチュードの基本 4つの柱
あなたのことを大切に思っていると伝えるための技術
<見る>
水平の視線は相手に平等な関係性を伝える。正面からしっかり見ることで正直さが伝わる。近くから水平に、正面から長い間、瞳と瞳を合わせるという見方が、ポジティブ、愛情を表現する。
<話す>
穏やかに、ゆっくり、前向きな言葉を用いて話しかける。相手から返事がないか、意図した反応がない場合は自分の動き(ケアの内容)を実況中継する「オートフィードバック」を用いて言葉を絶やさないようにする。
<触れる>
広い面積で、柔らかく、ゆっくり触れることで、優しさ、愛情を表現する。反対に親指をかけて掴んだり、指先で触れると、強制力や攻撃性を相手に感じさせてしまう。順序は、敏感ではないところ、肩や背中から触れる。手や顔は敏感な部位であるため最初には触れない。
<立つ>
立つことで軟骨や関節に栄養を行きわたらせ、呼吸器系や循環器系の機能が活発になり、また血流がよくなることで、褥瘡も予防する。さらに、立って歩くことは、知性、社会性、空間認知の獲得となり、人であることの尊厳と誇りを自覚する手段でもある。
●ユマニチュードのケアのための5つのステップ
~すべてのケアは5つの手順に基づく~
ユマニチュードの基本の柱「見る・話す・触れる・立つ」を使って、相手との人間関係を築き、実際のケアを行うには、次の5つのステップで構成されている手順に基づいて行う。
<1.出会いの準備(来訪を伝える)>
部屋に入る時は、3回ノックして3秒待つ、また3回ノックして3秒待つ、反応がなければ1回ノックして室内に入る。(ドアがない場合は、ベッドボードなどをノックする)
ノックすることによって、中にいる人に、「誰かが自分に会いに来たこと」を知らせ、受け入れるかどうか選択してもらうことができる。
<2.ケアの準備(相手との関係性を築く)>
これから行うケアの話をすぐにはせず、「あなたに会いに来た、一緒に楽しい時間を過ごしたい」というメッセージをまず相手に伝える。正面から近づき、目と目を合わせ、瞳を捉えてから3秒以内に話し始める。ポジティブな言葉だけを使って話し、「見る・話す・触れる」の技法を用いる。3分以内にこれから行うケアの同意を得られなければ、いったん諦める。
<3.知覚の連結(心地よいケアの実施)>
ケアにおいて「見る・話す・触れる」のうち、少なくとも2つ以上を同時に使いながら、あなたを大切に思っているというメッセージを継続的に届ける。
優しく話しながら手を掴む、というような行動はメッセージの矛盾を生じさせる。自分が発するメッセージに調和を持たせながら、相手が穏やかでリラックスした状態でケアを実施する。
<4.感情の固定(ケアの心地よさを記憶に残す)>
感情に伴う記憶は認知機能が低下した人にも最後まで残る。(誰かは分からないが、前に会った時の感情は覚えている)
ケアが終わった後に、心地よかったことや、「あなたと一緒に過ごすことができ嬉しかった」などポジティブな言葉をかけ、終了後、すぐに立ち去らないで、ケアを素敵な経験として感情記憶に残す。
<5.再会の約束(次回のケアを容易にするための準備)>
認知症の人は、「また会いましょう」と言っても覚えていないかもしれないが、自分に優しくしてくれた人が、また会いにきてくれるとうい喜びや期待の感情は記憶にとどまり、次のケアの時に笑顔で迎えてくれる。
昼間の関わりはユマニチュードできるけど、夜間寝ている時に便が出ている、でもケアの相手は寝ている(大部屋)…など、夜はどうしたらいいのだろう、ユマニチュードなるべく意識するけど難しい。夜の関わりもっと知りたいなど感じながらケアしてます。
これからも、急性期病院で忙しい中でも、ユマニチュード忘れず関わっていきたいですね(*^^*)