30代から看護師へ オピオイド鎮痛薬

最近ヒドロモルフォンをよく使用するようになってきたので、研修受けました。

 

オピオイド鎮痛薬の効果はどれも同じ?

あるオピオイドが他のオピオイドに比較して、より痛みを緩和する根拠はない。副作用に関しては、オキシコドンモルヒネはほぼ同等であり、フェンタニルモルヒネに比べて便秘が少ない。

              (がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014より)

 

モルヒネ

【長所】

オピオイド基本薬である

オピオイド換算のベースである

・剤型の種類が豊富

呼吸困難感改善エビデンスあり。

【短所】

副作用が強い(眠気・便秘)

腎機能障害時に使い難い

モルヒネという言葉に偏見がある

 

 

オキシコドン

【長所】

低用量がある(オキシコドン5㎎≒モルヒネ7.5㎎)→開始時の副作用が少ない

腎機能障害時にも比較的安全に使える

【短所】

・呼吸困難改善の確たるエビデンスがない

ゴーストピル

 

 

フェンタニル

【長所】

・貼付剤:がん性/非がん性疼痛

経口不能でも使用できる(貼付剤)

作用時間が長い

腎機能障害時にも安全に使える

・副作用が少ない(眠気・便秘

【短所】

作用時間が長い→タイトレーション・消失に時間がかかる

皮膚吸収に差がある

呼吸抑制が起こりやすい

耐性ができやすい

 

 

ヒドロモルフォン

【長所】

・基本はモルヒネと同様(構造類似)

・μ受容体への親和性が高い→モルヒネの5倍

             (モルヒネ10㎎≒ヒドロモルフォン2㎎)

低用量(2㎎/日)で開始→モルヒネ10㎎/日相当

・徐放性製剤(ナルサス1日1回の投与アドヒアランス向上

・CYP(代謝酵素)の影響を受けない→薬物相互作用なし

腎機能障害時にも比較的安全し使用できる

・呼吸困難の改善

高用量注射製剤10㎎/mlあり

 (≒モルヒネ注80㎎、アンペック注40㎎)

 

 

トラマドール

・μ受容体への親和性は低い(オピオイド活性は弱い)

 (トラマドール100㎎≒経口モルヒネ20㎎)

・CYP2D6・3A4で代謝されて活性を発現→オピオイド扱い(麻薬処方箋不要)

セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害作用あり→神経障害性疼痛に有効?

 

 

トラムセット

・トラマドール37.5㎎+アセトアミノフェン325㎎

・適応症:非がん慢性疼痛

 

 

オピオイドスイッチング

・副作用が強く、オピオイドの継続/増量が困難な場合

・鎮痛効果が不十分な場合

 

オピオイドコンビネーション

成分の違う2種類のオピオイドを併用させることで、鎮痛効果を上げ、副作用を軽減

 させる

・一種類のオピオイドフェンタニル)を高用量使用すると耐性ができ、鎮痛効果が

 頭打ち

・高用量使用による呼吸抑制のも注意

フェンタニルとヒドロモルフォン等を併用することによって、フェンタニルの耐性

 機構(受容体の陥入)を抑制することができる

<例>

①フェントステープが高用量になり効きが悪くなってきた

 ヒドロモルフォンを追加

  鎮痛効果UP→患者満足→徐々にフェンタニルの耐性が解除→段階的にタイトレー

  ション

オキシコンチンベースでオキノームのレスキューが効かない

 レスキューを別成分に変更

 

 

レスキューの概念

ガイドライン(2010-2014)ではレスキュー薬の必要な痛みを突出痛定時薬の切れ目の痛みに分類

【投与量について】

初回のレスキュー薬の投与量として、経口投与では1日投与量の10~20%注射では1時間量を推奨する。

ただし、鎮痛効果と副作用を評価し、患者の状態に応じて投与量を調節する。レスキュー薬の増量方法は、安全性と有効性を確認し標準化された方法がないので、患者の個々に合わせた評価と観察が必要である。

 

レスキュー薬(SAO製剤とROO製剤)

【SAO製剤】

・Shot  Acting  Opiods(短時間作用型オピオイド

・効果発現30分、持続時間4~6時間

・オプソ、オキノーム、ナルラピド

・End of  dose  failure(切れ目の痛み)

【ROO製剤】 

・Rapid  Onset  Opioids(即効性オピオイド

・効果発現がより早く(10~15分)、効果持続時間もより短い(1~2時間)

・口腔粘膜吸収型フェンタニル(舌下・バッカル錠)

・Breakthrough  pain(突出痛)

 

SAO製剤とROO製剤の適応

【SAO製剤】

・疼痛コントロール不安定

・ベース量未決定

・レスキュー頻回使用

・切れ目の痛み

・定時薬の用量設定

・定時薬と同一成分

【ROO製剤】

・持続痛コントロール安定

・突出痛に難渋

・骨転移(体動時痛、座れない、動けない)

・経口困難時

・副作用軽減(悪心・便秘)