最近ヒドロモルフォンをよく使用するようになってきたので、研修受けました。
オピオイド鎮痛薬の効果はどれも同じ?
あるオピオイドが他のオピオイドに比較して、より痛みを緩和する根拠はない。副作用に関しては、オキシコドンとモルヒネはほぼ同等であり、フェンタニルはモルヒネに比べて便秘が少ない。
【長所】
・オピオイド基本薬である
・オピオイド換算のベースである
・剤型の種類が豊富
・呼吸困難感改善のエビデンスあり。
【短所】
・副作用が強い(眠気・便秘)
・腎機能障害時に使い難い
・モルヒネという言葉に偏見がある
【長所】
・低用量がある(オキシコドン5㎎≒モルヒネ7.5㎎)→開始時の副作用が少ない
・腎機能障害時にも比較的安全に使える
【短所】
・呼吸困難改善の確たるエビデンスがない
・ゴーストピル
【長所】
・貼付剤:がん性/非がん性疼痛
・経口不能でも使用できる(貼付剤)
・作用時間が長い
・腎機能障害時にも安全に使える
・副作用が少ない(眠気・便秘)
【短所】
・作用時間が長い→タイトレーション・消失に時間がかかる
・皮膚吸収に差がある
・呼吸抑制が起こりやすい
・耐性ができやすい
ヒドロモルフォン
【長所】
・基本はモルヒネと同様(構造類似)
・μ受容体への親和性が高い→モルヒネの5倍
・低用量(2㎎/日)で開始→モルヒネ10㎎/日相当
・腎機能障害時にも比較的安全し使用できる
・呼吸困難の改善
・高用量注射製剤10㎎/mlあり
(≒モルヒネ注80㎎、アンペック注40㎎)
トラマドール
・μ受容体への親和性は低い(オピオイド活性は弱い)
(トラマドール100㎎≒経口モルヒネ20㎎)
・CYP2D6・3A4で代謝されて活性を発現→弱オピオイド扱い(麻薬処方箋不要)
・セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用あり→神経障害性疼痛に有効?
トラムセット
・トラマドール37.5㎎+アセトアミノフェン325㎎
・適応症:非がん慢性疼痛
◎オピオイドスイッチング
・副作用が強く、オピオイドの継続/増量が困難な場合
・鎮痛効果が不十分な場合
◎オピオイドコンビネーション
・成分の違う2種類のオピオイドを併用させることで、鎮痛効果を上げ、副作用を軽減
させる
・一種類のオピオイド(フェンタニル)を高用量使用すると耐性ができ、鎮痛効果が
頭打ち
・高用量使用による呼吸抑制のも注意
・フェンタニルとヒドロモルフォン等を併用することによって、フェンタニルの耐性
機構(受容体の陥入)を抑制することができる
<例>
①フェントステープが高用量になり効きが悪くなってきた
ヒドロモルフォンを追加
鎮痛効果UP→患者満足→徐々にフェンタニルの耐性が解除→段階的にタイトレー
ション
②オキシコンチンベースでオキノームのレスキューが効かない
レスキューを別成分に変更
レスキューの概念
新ガイドライン(2010-2014)ではレスキュー薬の必要な痛みを突出痛と定時薬の切れ目の痛みに分類
【投与量について】
初回のレスキュー薬の投与量として、経口投与では1日投与量の10~20%、注射では1時間量を推奨する。
ただし、鎮痛効果と副作用を評価し、患者の状態に応じて投与量を調節する。レスキュー薬の増量方法は、安全性と有効性を確認し標準化された方法がないので、患者の個々に合わせた評価と観察が必要である。
レスキュー薬(SAO製剤とROO製剤)
【SAO製剤】
・Shot Acting Opiods(短時間作用型オピオイド)
・効果発現30分、持続時間4~6時間
・オプソ、オキノーム、ナルラピド
・End of dose failure(切れ目の痛み)
【ROO製剤】
・Rapid Onset Opioids(即効性オピオイド)
・効果発現がより早く(10~15分)、効果持続時間もより短い(1~2時間)
・口腔粘膜吸収型フェンタニル(舌下・バッカル錠)
・Breakthrough pain(突出痛)
SAO製剤とROO製剤の適応
【SAO製剤】
・疼痛コントロール不安定
・ベース量未決定
・レスキュー頻回使用
・切れ目の痛み
・定時薬の用量設定
・定時薬と同一成分
【ROO製剤】
・持続痛コントロール安定
・突出痛に難渋
・骨転移(体動時痛、座れない、動けない)
・経口困難時
・副作用軽減(悪心・便秘)