新型コロナ変異ウイルス

新型コロナ変異ウイルス

〇変異の仕組み

ウイルスは単純構造の微生物のため、他の生きた細胞の中でしか増殖できない。一般的に増殖と流行を繰り返す中で、ウイルスは少しずつ変異していく。新型コロナウイルスも約2週間に1回程度の速度で変異していると考えられている。

ウイルス表面にある突起(細胞内侵入への関与や、抗体が結合する部分として重要)のタンパク質が変化することで変異が起こり、感染力やワクチン効果に影響が出てくる。

主な変異3つ

①N501Y変異

タンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)へ変化したもの。

突起が変化し細胞内へ侵入しやすくなる→増殖しやすい→ウイルス量増加→従来株より感染しやすくなる可能性がある。

②E484K変異

タンパク質484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)へ変化したもの。

突起が変化し抗体が結合しにくくなる→従来株より免疫反応やワクチン効果が弱くなる可能性がある。

③L452R変異

タンパク質の452番目のアミノ酸がL(ロイシン)からR(アルギニン)へ変化したもの。HLA-A24(白血球の型)がウイルスを認識する部位が変化し、免疫反応やワクチン効果が弱くなる可能性がある。HLA-A24は日本人の6割が保有している型のため、国内での流行が懸念されている。

 

〇変異ウイルスの特徴

①アルファ株(イギリスで発見)、N501Y

 感染力が増強

②ベータ株南アフリカで発見)、N501Y・E484K

 感染力が増強、ワクチン効果が低下

③ガンマ株(ブラジルで発見)、N501Y・E484K

 感染力が増強、ワクチン効果が低下

④デルタ株(インドで発見)、L452R

 ワクチン効果や抗体療法への影響が考えられる。他の変異株より、体内のウイルス量が多く、ウイルス排出期間も長いことが報告されている。

⑤ラムダ株(ペルーで発見)、7つの部位が変異

 感染力が増強、ワクチン効果が低下が予測される。

 

〇変異ウイルスの感染対策

変異ウイルスに対しても基本的な感染対策は変わらない。ただし、これまで以上に感染しやすくなると考えられるため、手指衛生・三密回避・換気・体調管理は徹底して続けることが求められる。ワクチンは変異ウイルスにより効果が低下することも懸念されているが、現時点では発症、重症化の予防に有効な手段と考えられている。