認知症研修 認知症高齢者のコミュニケーション

今年も認知症研修行ってきました。コロナの関係で少人数でした。

 

認知症の人との関わり方のコツ

①病室~会話を始める場合

認知症の人は状況への反応性、対応力が低下している

陥りやすい問題点:急な訪室、声かけに注意

          →急激な状況変化に対応できず、混乱を招いてしまう

point:よく観察し、無理のない対応を心がける

   →覚醒水準や反応を観察し、自然に注意やいしきを向けてもらい、安心感を保つ

   例)視覚:話しかける位置、向き、距離、表情など

     聴覚:タイミング、声量、声色、発語速度など

     内容:丁寧で分かりやすい言葉・文章を用いるなど

 

 

認知症の人との会話のコツ

②会話をする場合

認知症の人でも感情機能や長期記憶は比較的保たれる

陥りやすい問題点:ネガティブ感情への配慮

         →否定しない、指示しない、叱らない が原則

          必要時だけ対応(気反らし、柔らかく訂正)

point:ポジティブ感情・残存記憶の活用

   →・対応者の感情は話し手に伝わる

     ⇒言葉や表情でのフィードバッグはやや大きめ

    ・患者にとって大切な出来事や話題の共有

     ⇒経験の尊重、価値や意味、つながりの再発見

 

 

物盗られ妄想への対応のコツ

③会話をする場合

★物盗られ妄想は認知症の症状のひとつ

 「わざと嫌がらせ」「性格が悪い」ではありません

陥りやすい問題点:感情的に対応してはいけません

         →強い否定は逆効果。対応者への嫌な感情だけが上書きされ、

          今後の関係性構築にも悪影響を及ぼす

point:訴えの背景の困りごと、感情を理解する

   →・認知症の特徴的な会話、思考パターンに気づく

    ・訴えを聞き、一緒に困りごとを解決する姿勢を保つ

    ・一対一では、対応に限界が出てくるため、複数名で協力体制を整える

 

 

幻覚・幻聴への対応のコツ

④会話をする場合

★幻覚・幻聴は本人にとっては現実的な体験であることを理解しましょう

陥りやすい問題点:本人の体験を否定しない

        →「そんなの見えませんよ」「何を言っているのですか」など、

         すべてを否定しない。

         気持ちを受け止めてもらえず、不安が増大する可能性あり。

point:幻覚・幻聴の体験による精神的苦痛を理解する

  →・無いはずのものが見えたり、聞こえたりする怖さや不安な気持ちに対して共感

    し伝える=受容してもらえた安心感が生まれる。

   ・幻覚・幻聴のイメージが軽減するよう働きかける

   ・「私には見えないのですが、○○さんには見えるのですね」⇒外在化

 

退室時の配慮について

⑤会話を終え、退室する

★急な状況変化や感情面に配慮し、退室後も安心感を保てるように工夫しましょう。

陥りやすい問題点:急に退室しない

        →入室時と同様、状況理解度や反応に注意する

         誤解を生むような、曖昧な声かけをしない

point:ポジティブ感情を改めて共有する

  →・言語/非言語のコミュニケーションで、改めて快感情を共有する

    ⇒関係性の構築(対応者を記憶できる可能性)

   ・今後の見通しを分かりやすく伝える

    ⇒孤独感をやわらげ、安心感や希望につながる

 

全ての場面を通して

・患者の感情を丁寧に扱い、安心感を保つ

・メッセージの言語/非言語の両側面に配慮する

認知症の症状や特徴のしくみを理解する

・患者を一人の人として尊重する姿勢

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認知症の人が抱える苦しみの軽減につながる