後輩指導研修

コロナ感染症で仕事が忙しく、研修にいくパワーもなくなっていましたが、久しぶりに看護協会の研修に行ってきました。

今までと違い、研修の申し込み方や研修費用の支払い方法もネットになり、研修に行くまでにあたふたしてしまいました(;^ω^)

 

研修テーマ「経験学習を活かした後輩指導方法」

研修の初めに、先生から「愛と真心では教育はできない、スキルが必要」という言葉あり、ハッとさせられ、とても印象に残りました。

 

〇教育では、教える内容・教える道・教える方法が必要

 

〇成人学習者の特徴

・自立的である

 受け身ではなく学ぶことについてその計画・実施に直接関わる

・経験がある

 経験が学習活動の基盤を提供してくれる。他の学習者の教育資源にもなる。ただし、

 自分の経験に価値を置きすぎる弊害もある

・動機が必要

 自分たちの職業や暮らしに直接重要と思われるようなテーマについて学ぶことに興味

 を示す。

・課題中心型

 学習中心型ではなく課題中心型である

・身体的変化

 視力、集中力、体力、記憶力が低下する

看護学生や新人看護師は子供から大人への移行期である!

 

〇指導者の3つの言葉

 説明、発問、指示の使い分けが大切

*発問とは…指導者が学習者に対して教育的な意図をもって問う伝統的な教育技法

 

〇技能習得の3段階

1.頭で理解する「認知的段階」

2.定着させる「体制化の段階」

 頭で理解した動作を一連の動きとして実践する段階

 反復練習を長期間続けることで、安定してできるようになる

      *時間がかかることを理解

3.自然にできる「自動化の段階」

 動きに注意を向ける必要がないため、他のことに注意を向ける余裕ができる

 

〇指導方法

モデリング:指導者が手本を示し、学習者は観察する

コーチング:学習者に実際にさせて、指導者が監察し助言を与える

・スキャフォールディング:学習者がやり遂げられるように、必要に応じて指導者が支援する

フェーディング:学習者が1人できるように、指導者が徐々に支援を減らす

 

〇経験学習は

・実際の経験とふり返りを通した能力の亢進

・経験は個人によって意味が異なる

・経験はふり返りによって学習になる

・70/20/10の法則

 学習の70%は、自分の仕事の直接的な経験から、20%は他者の観察やアドバイスから、10%は研修から得られる

 

〇経験学習の3つの側面

・過去から未来

 過去の経験を未来に活かす

・具体、抽象、具体

 具体的な経験を抽象的な教訓に

 抽象的な教訓を次の経験に

・事実と感情

 「うれしい」「くやしい」などの感情も把握して学習につなげていく

 

〇経験学習を促す発問

リフレクティブサイクル

記述・描写(何が起こったの?)→感覚(その時、あなたはどう思った?)→評価(何がよくて何が悪かったのかな?)→分析(こうなってしまった原因は何だろう)→結論(今回の場合はどうすればよかった?)→行動計画(次からはどうすればいい?)

→*繰り返す

 

〇評価

構成要素

・評価目的:何のために

・評価主体:誰が

・評価対象:何を

・評価基準:どのような尺度で

・評価方法:どのようにデータを収集するか

 

*評価する際には認知バイアスがあることを念頭におく

人間が無意識にもっている偏り

・学習者の認知バイアス

 能力の低い個人が、自らの行動や能力などを実際より高く評価してしまう認知バイアス

・指導者の認知バイアス

 ハロー効果:この新人は挨拶が気持ちいいので、技術も身についているに違いない

 キャリーオーバー効果」:すぐれた内容のレポートの後のレポートを低く評価してしまう。

 

〇指導者に求められる倫理

・人として求められる倫理は求められる

 誠実に話す、約束は守る、不公平な扱いをしない、人権を侵害しない

・指導者には高い倫理が求められる

 教師聖職者論、アカデミックハラスメント

 

 

 

 

 

Z世代と上手に付き合うコツ

新人さんが入って1カ月が経とうとしています。うちの病棟もローテーション研修で数名配属されています。

だいぶ年齢も違うため、毎年関わりに悩みますね。

 

Z世代とは

1996~2010年あたりに生まれた人たちのこと。

小学校高学年~中学生くらいからソーシャルメディアに触れ、高校生くらいからスマートフォンを持つ「ソーシャルネイティブ」な世代。

 

Z世代の特徴5つ

1.空気を読みすぎる

幼いころからスマホSNSが日常にある世界で生きてきた彼らは、子供時代から常に誰かとつながっている。誰ともつながることなく、完全に一人で過ごすような時間は少ないため、人の目や意見をどんなときでも気にしてしまう傾向がある。SNSを使い慣れていることから、世の中には多様な価値観を持つ人がいるという感覚も持ち合わせている。それもあり、気遣いの感覚が鋭敏に研ぎ澄まされ、空気読みのスキルが上がっているともいえる。

 

2.内面がとても繊細である

何かあると「○○ハラスメント」として処理される今の時代、Z世代は理不尽さへの耐性を持っていない。理不尽な環境に強くない、言い換えると「打たれ弱い」ともいえる。人から言われたことを必要以上に気にする点も、彼らの繊細さと関係している。

 

3.人間関係をとても大切にする

子供のころからSNSに慣れ親しんでいる彼らは複数のコミュニティに属している。その中で居心地のいいコミュニティがあると、そこを自身にとって「大切な場所」と認識し、所属し続ける。先輩などの年上を敬う傾向も強い。一方で、居心地が悪いと感じるようなコミュニティからはスッと抜けます。彼らには争いごとを嫌う性質があるほか、SNSを通じて多様性を受け入れる価値観を持っているため、特定の価値観を押し付けられることも好きではない。極端な例を言うと、上司からとある価値観を「これが当たり前だから」と提示され、それに違和感を覚える場合には、ことを荒立てることなく静かに辞めていくことが予測される。

 

4.物事をじっくり考えるのが苦手である

若い時からスマホをもち、SNSにどっぷり浸かっていることもあり、人を交流するのに費やす時間が多い代わりに、内省したり創作活動をしたりする時間をあまり持てずにきている。常に友人や知人と電子的なやりとりをしているので、テンポよく会話したり、スマホアプリでセンスの良い画像や動画を手早く作ったりといった瞬発的なコミュニケーションの反射神経をとても優れている。その一方で、腰を据えて深く考えることや、集めた素材を集約することなどを不得手とする傾向がある。

 

5.堅実が考えを持っている

経済的にはとても保守的で、安定をとても大切にしている。彼らが生まれて以降、日本の経済は右肩下がりで上がったことはない。日本はここから先どこまで下がっていくか分からないでい、自分が何人の高齢者を支えるのか分からないと不安に感じているZ世代も少なくない。それもあり、一度入った会社にずっと勤めて、安定を得たいという考えをもつ人は多い。

 

 

Z世代と上手くコミュニケーションをとるための心得 4つ

1.価値観を押し付けようとしない

自分が新人だったときには当たり前とされていたようなことをZ世代に強要するのはNG。彼らは人間関係を特に大事にするので、信頼関係ができあがって「この上司は人間的によいな、魅力的だな。」といったポジティブ感情を抱いた相手に対しては「この人のためにがんばろう」と素直に一生懸命仕事をするはず。

 

2.自然体で接する

自分が心に不安を持って構えると、相手も同じように不安になる。

 

3.対話を経て、仕事に没頭するような環境を整える

Z世代はとにかく空気を読むため、悪目立ちするのがすきではない。だから「私が、私が」と積極的に手を上げる人も多くない。ある意味で、指示待ち型といえるかもしれないが、だからといって「自分から動こうとしない人」とレッテルを貼るのではなく、対話を重ねて関係性を構築し、仕事に夢中になるような環境を用意する。

 

4.能動的に傾聴する

Z世代だけでなく、すべての世代に有効。繊細な相手を傷つけないような形で、起きている問題について話し、注意したり大事なことを教えたりする際の基本は「あなたメッセージ」ではなくて「私メッセージ」で伝えることです。

 

                           *プレジデント3.18より

 

 

 

2022年度 診療報酬改定 看護

2022年度診療報酬改定の基本方針

 

改訂にあたっての基本認識

・新興感染症にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応

健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現

・患者、国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

社会保障制度の安定性、持続可能性の確保、経済・財政との調和

 

改定の基本的視点ご具体的方向性

1.新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築【重点課題】

2.安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】

3.患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

4.効率的・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

 

主な改定項目

新型コロナウイルス感染症等にも対応できる医療提供体制の構築

●感染防止対策加算の見直し

 感染対策向上加算1 710点

 感染対策向上加算2 175点

 感染対策向上加算3 75点

●高度かつ専門的な急性期医療の評価

 急性期充実体制加算(1日につき)

 1:7日以内 460点

 2:8日以上11日以内 250点

 3:12日以上14日以内 180点

●重症度、医療・看護必要度の見直し

<一般病棟>

評価項目

A項目の「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更。「心電図モニターの管理」を削除。「輸血や血液製剤の管理」を1点から2点に変更。

評価基準

評価項目の見直しに伴い、該当患者割合の基準を見直し。急性期一般入院料を、6段階の評価体制に変更。

評価方法

200床以上の入院料Ⅰ算定病棟に重症度、医療・看護必要度Ⅱを持ちいることを要件化。

<特定集中治療室用>

評価項目

A項目の「心電図モニターの管理」を削除。判定基準からB項目を削除。ただし、B

項目の評価の実施は毎日必須。

評価基準

評価項目の見直しに伴い、判定基準を見直し。基準はA特点3点以上に変更。

評価方法

レセプト電算処理システム用コードを用いた評価を導入

 

●特定集中治療室の体制強化

重症患者対応体制強化加算

 3日以内 750点

 4日以上7日以内 500点

 8日以上14日以内 300点

 

●早期離床・リハビリテーション加算の見直し

 

●24時間対応体制の要件の見直し

 

●昨日今強化型訪問看護ステーションの要件の見直し

 

●専門性の高い看護師による同行訪問の見直し

 

●専門性の高い看護師による訪問看護への評価

 

●複数名訪問看護加算の見直し

 

●多職種により術後疼痛管理に関わる評価

 術後疼痛管理チーム加算 1日につき 100点

 

働き方改革の推進

●看護職の夜間業務負担の軽減

夜間看護訂正加算などの施設基準で、「11時間以上の勤務時間の確保」または「連続する夜勤の回数が2回以下」のいずれかを満たしていることを必須化。夜間の看護配置に関わる各加算の点数を総じて5点引き上げ

 

●特定行為研修修了者の活用推進

 

●看護補助者の活用推進

 看護補助者体制充実加算 1日につき

 

●ICTを活用したカンファレンス

 

安心・安全で質の高い医療の実現

●人工呼吸器などの管理の評価

 覚醒試験加算 1日につき 100点

 離脱試験加算 1日につき 60点

 体外式膜型人工肺 1日につき 初日:30150点

               2日目以降:3000点

 体外式膜型人工肺管理料 1日つき 7日目まで4500点

                 8日目以降14日まで 4000点

                 15日目以降 3000点

 

●摂食嚥下支援加算の見直し

 摂食嚥下機能回復体制加算1 210点

 摂食嚥下機能回復体制加算2 190点

 摂食嚥下機能回復体制加算3 120点

 

精神疾患患者への多職種による支援の評価

 療養生活継続支援加算 350点(月1回)

 

 

 

今まであまり意識していなかったけど、診療報酬改定も意識していかなければなりませんね(*^^*)

 

 

 

新型コロナ変異ウイルス

新型コロナ変異ウイルス

〇変異の仕組み

ウイルスは単純構造の微生物のため、他の生きた細胞の中でしか増殖できない。一般的に増殖と流行を繰り返す中で、ウイルスは少しずつ変異していく。新型コロナウイルスも約2週間に1回程度の速度で変異していると考えられている。

ウイルス表面にある突起(細胞内侵入への関与や、抗体が結合する部分として重要)のタンパク質が変化することで変異が起こり、感染力やワクチン効果に影響が出てくる。

主な変異3つ

①N501Y変異

タンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)へ変化したもの。

突起が変化し細胞内へ侵入しやすくなる→増殖しやすい→ウイルス量増加→従来株より感染しやすくなる可能性がある。

②E484K変異

タンパク質484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)へ変化したもの。

突起が変化し抗体が結合しにくくなる→従来株より免疫反応やワクチン効果が弱くなる可能性がある。

③L452R変異

タンパク質の452番目のアミノ酸がL(ロイシン)からR(アルギニン)へ変化したもの。HLA-A24(白血球の型)がウイルスを認識する部位が変化し、免疫反応やワクチン効果が弱くなる可能性がある。HLA-A24は日本人の6割が保有している型のため、国内での流行が懸念されている。

 

〇変異ウイルスの特徴

①アルファ株(イギリスで発見)、N501Y

 感染力が増強

②ベータ株南アフリカで発見)、N501Y・E484K

 感染力が増強、ワクチン効果が低下

③ガンマ株(ブラジルで発見)、N501Y・E484K

 感染力が増強、ワクチン効果が低下

④デルタ株(インドで発見)、L452R

 ワクチン効果や抗体療法への影響が考えられる。他の変異株より、体内のウイルス量が多く、ウイルス排出期間も長いことが報告されている。

⑤ラムダ株(ペルーで発見)、7つの部位が変異

 感染力が増強、ワクチン効果が低下が予測される。

 

〇変異ウイルスの感染対策

変異ウイルスに対しても基本的な感染対策は変わらない。ただし、これまで以上に感染しやすくなると考えられるため、手指衛生・三密回避・換気・体調管理は徹底して続けることが求められる。ワクチンは変異ウイルスにより効果が低下することも懸念されているが、現時点では発症、重症化の予防に有効な手段と考えられている。

 

 

 

アルツハイマー新薬

アルツハイマー新薬

エーザイと米バイオジェンが研究開発した新薬『アデュカヌマブ』が、6月7日FDA(米国食品医薬品局)から製造販売の迅速承認を受けた。

 

従来の薬との相違点

アルツハイマーの原因として、『アミロイドβ仮説』がある。通常、脳の神経細胞膜にあるアミロイドβタンパクは、分解され、代謝されて血液中に流れていくが、脳の中にたまってしまうと、神経細胞の働きの邪魔をする。神経細胞の働きが悪くなると『アセチルコリン』が減少し、最後は多くの神経細胞が死滅し、脳が萎縮してくる。これが『アミロイドβ仮説』である。

従来の薬は、『アセチルコリン』の減少を改善するものであるが、承認されたアデュカヌマブは、アミロイドβタンパクを減らす治療薬になる。したがって、従来の薬とはメカニズムから違う。

 

今後の動向に注目していきたいですね。

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学生指導/臨地実習指導 

コロナ禍の中、今年も看護学生さん実習に来てます。

 

看護学実習とは

学生が既存の知識と技術を基に、クライアントと相互行為を展開し、看護目標達成に向かいつつ、そこに生じた看護現象を教材として、看護実践に必要な基礎的能力を習得するという学習目標を目指す授業である。

              「看護教育における授業展開」監修:舟島なをみ より

 

今どきの学生事情

学生の特徴

・生活経験が乏しい

 例)パソコンの普及、自動化の影響などがあり、何に手を出せばよいのか分からない

 ⇒丁寧な関わりが必要。

  *反面、丁寧な関わりが学生の主体性や自立性を育ちにくくしている側面もある

・コミュニケーション能力の低下

・社会人学生の増加⇒学生間でレディネスの違いが大きい

カリキュラム

・カリキュラムが過密

 ⇒講義、演習時間の不足

  教育内容の過密、ゆとりのなさ

  知識を活用する方法の取得が困難

 

実習の学習環境が複雑

・指導者(臨床スタッフ)が日々異なる

・変化が多い対象の状態を的確にとらえ、判断し行動する高度な学習が要求される

 ↓

学生は複雑な環境に適応することが難しく、十分な知識や技術を発揮できない傾向がみられる。

このような状況を臨地実習指導者が支援する!

 

実習指導者の役割

【実習前】

1.実習目的、目標の把握

2.病棟スタッフへの伝達

3.受け持ち患者の選定、同意

4.実習環境整備、物品の準備

【実習中】

1.実習病棟のオリエンテーション

2.学生の看護計画、行動計画の指導

3.学生と患者の関係調整

4.実習に必要な部署との調整

5.直接的ケアの指導、役割モデル

【実習後】

1.実習指導評価(自分たちの)

 

実習指導者に求められる姿勢

・学生の緊張を和らげる

・学生の相談役となる

・学生に公平に接する

・学生の考え、思いを聞く

・学生と話しができる環境をつくる

・否定的な言い方はせず、良いところを評価する